「上達するためには、面白がることが重要です」

「相鉄瓦版」2007.10月号より。
創業から60年近い歴史を持つ「戸山家具製作所」の職人戸山顕司さんはキャリア40年以上のベテラン職人だ。そんな戸山さんが父親から言われた言葉は「おまえには仕事を教えない」というものだったと述懐している。
その理由は家具作りは面白いから気をつけろ、ということだとあとから理解できたという。つまり木工に夢中になってしまうと、商売のほうがおろそかになってしまうからだった。個人の経営では何もかもひとりでしなければならなかったのだ。
ところが、戸山さんはその教えに背いて家具作り、特に塗装にのめりこんでしまったのだ。ということで、今では三代目とる息子さんが営業に専念してくれるのは嬉しいとまでいう。技術はほかの職人でも受け継ぐことはできるからだった。
戸山さんは日本の塗装の神様とも呼ばれる職人にしつこいくらい付きまとって教えを受けていた。しかもその後海外に出てそこでも塗装の職人に教えを請うていた。そこまでのめりこんで塗装の技術を磨いたということは、よほど仕事が面白かったということでもあろう。
45年ほどもやってきてもまだまだ塗装が楽しくてしょうがないという。現在は職業訓練校でも教える機会があるというが、その際も単に技術的な面だけでなく、塗装の面白さを伝えるのも自分の役目だと考えているようだ。
こんな先生に面白さを教えられた生徒さんには、将来素晴らしい職人になってほしいもの。

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「僕は喜んで人寄せパンダになりたい・・・」

朝日新聞ホームページ「どらく」より。

「役の上では明治時代以降行ったことのない戦争はない・・・」そう語るのは軍人の役が実によく似合う俳優永島敏行さんだった。もう50代になっていた。といってもここで取りあげたいのは、役者としての彼ではなくユニークな活動についてだった。
それは永島さんは長年農業(活動)にも従事していたのだ。かつて自然のなかで育ったことが忘れられないらしい。現在は生産者と消費者を結ぶ「青空市場」を毎月主催している。
タイトルにあげたフレーズの前には次のようにあった。「僕がかかわることで農業や生産者が注目されるなら」と。自分で作った米は、作業の積み重ねがあるから、食べる時にそのイメージが広がっておいしい、と述べいている。
確かに自分が体を動かして作ったお米なら、買ってきただけのお米より味わって食べることができそうだ。つまり消費者であると同時に生産者であることを実感できるということだろう。
俳優だからこそ注目され、(自分のためではなく)多くの人が農業に目を向ける機会が増えるというのは地道ですばらしい活動でもあるな。
蛇足
永島さん主催の青空市場のホームページ
http://www.aozora-ichiba.co.jp/