「人間は、カセがいっぱいあったほうがチャーミング・・・」
R25」2007.6.7号より。
カセ・・・よく知られているのは「足かせ」、というような表現かもしれない。そんな拘束するものは誰も好むはずはない。しかし、インタビュー記事のなかでイッセー尾形は、わずか10行ほどの間に何度も繰り返しその言葉を使っていた。
カセっていったいどんなものだろう。そのカセがチャーミングというのがちょっと気になった。とりあえず辞書の解釈では次のようになっている。
かせ 1 【▼枷】 〔「かし」の転〕
(1)刑具の一。首や手足にはめて、自由に動けないようにするもの。かし。桎梏(しつこく)。「足―」
(2)人の行動を束縛するもの。「恩愛の情が―となる」
(3)三味線で上調子を弾く時、弦を短くするために弦の上から当ててさおにくくり付ける駒(こま)。
(4)芝居で、演技を効果的にするために利用するもの。「梅柳の立木を―に両人宜しく立廻り/歌舞伎・小袖曾我」
彼によれば、“自分では気づかないカセが他人と自分を差別する、すごく小さなポイントなのだ。”という。
自分らしさ、自分にしかできないもの、その人だけの特徴、魅力、オリジナリティ・・・・そんなニュアンスのものだろうか。それらは頭で考えているうちは出てこない。
イッセー尾形は全国でワークショップを展開している。そこではズブの素人を集めて4日間の稽古で舞台にあげようという試みをしている。つまりそんなふうにして、その場でほぼ強制的に課題を与えられたときにその人らしさは表れるのだろう。
自分の魅力なんて意外に自分では分からないものだろうな。まあ、いずれにしてもその人独自の魅力なんて、当たり前の平安な状況では見つからないかもしれない・・・な。