傘は本来消耗品ではない。

「ゴールデンミニッツ」2007.3月号より。
よく駅のPR誌などで、電車の中の忘れ物ベスト10などを目にすることがあるが、傘は常にそのトップであることが多い。だから、傘といえば、すぐに消耗品かと思ってしまう。しかし、ある傘職人によればそうではないらしい。
私なども何度も電車の中に置き忘れている。でも、それほど高級品でもないからわざわざ引き取りに行ったりはしない。ほとんどの人がそうだろう。最近は使い捨てに近いビニール傘が多く出回っている。
急に降りだしたときには、そんなものも役に立つもの。しかし、風雨が強い時にはほとんど役には立たない。あっという間にぐしゃりと骨が折れてしまうほど華奢なつくりだ。しかし、中にはオーダーで高級な傘を作る人もいる。
傘を趣味趣向品として買う人は、晴れた日によく吟味して買うという。ある傘の専門店では4人の匠によって作っている。それは持ち手の部分を作る、手元職人、傘骨を作る傘骨職人、生地のデザインから裁断を手がける生地職人、生地を裁断し傘骨に張り付ける加工職人だった。
これら4人の職人によって作られるから、「傘」という字という文字には「人」といい字が4つ使われているという。これほど素材を吟味して手間暇がかかっていれば、当然1本が数万円というのもうなずける。5,6万円もする傘ならきっと大事に使うだろう。
でも、それだけのものだと風雨の強い日にさすにのは、ちょっともったいと思ってしまうのは私だけだろうか・・・