マイナスの出来事が新しい価値観を育てる。

朝日新聞」2007.3.18付けより。
「仕事力」というコラムの中で作家の幸田真音さんが述べていたこと。彼女が外国債券のセールスをしていたときのこと。高い年棒をもらっていながら、成果を出せなかった時期があった。
そのためストレスがたまって十二指腸潰瘍を繰り返し、ついにはドクターストップがかかってしまったのだ。いくら目の前にビジネスチャンスがあっても体が動かなかった悔しさは、今でも忘れられないほどだという。
退職後、体調が回復し自分の会社を設立したら、今度は腫瘍が見つかったのだ。そして焦りにとらわれて、何か書いて残しておかねばと思い、初めての小説を書いている。
何度もの挫折は、幸田さんにとっては、その時は地獄のような苦しみだったに違いない。いろいろなビジネスを模索して世界を飛び回ったものの、軌道にはのらなかったようだ。しかし、さまざまな業界を知ったことは、後から考えればプラスになっているようだ。
だから、病気や苦難などの不運というマイナスもいつか人生のどこかでプラスに転じるはずだと実感している。そして、「あの時の苦労はこの時のためにあったのだ」と必ず気づく日がくる、とも述べている。
まあ、こんなふうにキッチリとプラスとマイナスの帳尻があってくれればいいものだが・・・(苦しい思いをすれば、それなりに人の痛みも分かってくるともいえるか)