今はやりのいい方をすれば、まさに“手紙健康法”ともいえる・・・

「手紙の周辺」エッセイ集より。
今までいろいろな健康法というのを聞いたことはあるが、これはちょっと意外なものだった。べつに身体全体が健康になるというよりむしろ、精神的なものに作用があるという意味だろう。
このフレーズは杉靖三郎氏(元東京教育大学名誉教授、現筑波大学)が書いていたエッセイの中で目にしたもの。つまり手紙が自分に与える効用のようなものだ。
「読む、書くを通して、子どもには知能の発達、大人には自己をとりもどし、精神ストレスを解消し、ひいては成人病の予防にも役立つ・・・」とまで述べている。
また、中高年にとっては脳の老化の防止、人間関係をよくするなども効能と考えられるらしい。つまりそんなことから“手紙健康法”といっているようだ。
筆者は長年にわたって貝原益軒杉田玄白の研究をしてきたが、二人とも七十歳を過ぎ、七十五歳から大著述ものにして、八十五歳の天寿を全うしていた。しかも、この二人は晩年に至るまで弟子や知人に手紙を書きこまめに日記をつけていたのだった。
杉田氏(故人)自身もこれを実践していたからこそ95歳という長寿だったのだろう。パソコンで手紙や日記ではちょっと無理だろうか。やはり手紙は手で紙に書かねばならないか・・・な。