ピカソの手というのは、「驚くべき粘り強さ」を持つ・・・

「天才の読み方」斉藤孝著より。
ピカソは、たとえば小石を見ても美しいと思ったという。そしてそれを見るとまたさらに加工したくなったらしい。彼は「海が実に見事に加工している。・・・ちょっと手を加えるだけで芸術作品になるのだよ。」と述べている。
普通、小石など見てもインスピレーションは湧いたりはしない。しかし、ピカソにとっては、単に面白いと感じるだけでなく、彫ってみたくなるものだったのだ。ここに別の例があった。
ある写真家が忘れていった乾板(写真感光材料の部品)にエッチング用の彫刻針で女性の横顔を描いていたという。だから、どんなちっぽけなものでも、ピカソのところに忘れたものはすべて、時限爆弾同然だったようだ。つまり、時間が経てば必ず爆発したからだ。
それは、あらゆるものを素材として貪欲に作品に仕上げてしまったということでもある。
かつて、岡本太郎は「芸術は爆発だ」という名言を残しているが、また別の意味でピカソは身近にあるさまざまなものからインスピレーションを湧き上がらせていたようだ。
ピカソは自分の手の動きを触発する素材を次々と見つける能力が飛びぬけて優れていたということもうかがえる。
蛇足
ピカソは彼の絵の教師であった父から教えを受けて、14歳の頃には素晴らしい写実画を残していたようだ。そして、その頃には20世紀までの絵画技法はほとんどマスターしていたと言われている。