「異質な他者」とのコミュニケーション能力。

「文藝春秋」2006.11月号より。
藤原和博さんの言葉だった。藤原さんは東京都初の「民間出身の公立中学校長」になった人でしばしば、テレビや雑誌にも登場している。また著書も何冊もあるので、私もこれまで3冊ほど読んだこともある。
これは中学受験という部分にあったフレーズ。公立中学では生徒の偏差値の幅は広い。また、私立中学ともなれば、その先の有名高校、一流大学合格を目指していることが明白でもある。
当然、受験によって偏差値で足切りをしているから、ある一定レベル以上の生徒が集まってくる。公立がさまざまな子供が集まった「異質集団」だとすれば、私立は「同質集団」ともいえる。
しかし、大人になって必要なのは「異質な他者」とのコミュニケーション能力になってくる。親をも含めたすさまじいばかりの中学受験が盛んなようだ。また実際は小学生の子供が自らすすんで中学受験をしているのかどうかも疑問だ。
むしろ一生懸命なのは親のほうではないだろうか。子供らは周りの友達が進学塾に通っているから、という大した動機もなく受験戦争に巻き込まれているのではないかな。子供が強い意思よりもむしろ親の過度の期待が受験に走らせている要因にも思えたりもする。
ここに面白い例があった。藤原さんが編集した『人生のつくり方 藤原和博と107人の仲間達』という本の中ではホワイトカラーで自分の名前で仕事をしている人を取材している。そのうち、小中高すべて公立だった人は77人で7割を超えていたという。
つまり「自分ブランド」で勝負する人たちには公立出身者が多いようだ。そんなことを考えれば、公立で幅広く自分らしく学ぶことも悪くないとも思えた次第。
蛇足
今まで都内杉並区内のファミレスでランチをしているとき、何度か近くのテーブルで藤原さんの姿を見かけたことがある。しかし、同僚とご一緒なのであえて話しかけたりはしなかった。