シンプルだからこそ、無限の可能性があるんです。

「ENGLISH JOURNAL」2006.10月号より。
ここでいうシンプルなものとは「折り紙」のことだった。使うのはたった一枚の紙。世界で最も単純なアートでもある。
折り紙作家の鳥本範(とりもとのりお)さん(58歳)はストックホルムに在住している。小学校5年生の時折り紙に引かれて、その後ふつうの仕事をしながら、約50年間も折り続けていることになる。
50歳で仕事を退職し、個人事務所を設立している。2000年には、日本折り紙協会が認定した「師範」9人のうちの1人に選ばれている。折り紙というと、日本では遊びと考えられ一見単純そうだが、奥が深い。
工夫次第で様々な形を作ることが出来る。ガチョウ、カニ、ヒツジ、さらには仏像まで折ってしまう。それは無限に広がっていく。そこまでいくと世界に二つとないアートの世界だろう。
紙一枚の工夫で世界にも通用してしまうって、かなりスゴイことだ。
話は全く異なるが、かつて落語家の桂文珍が、「単純なものこそ古くならない」と言っていたのを思い出した。
落語の世界ではありふれた道具しか使わないが、だからこそ想像の世界が広がるという意味だ。道具とは手ぬぐいや扇子のことだった。手ぬぐいは本や手紙になる。扇子は箸、筆、キセル・・・と様々なものに変化させることができる。
現在私たちが長年使っているものも、意外にシンプルなものが多いかも。あとは使用する際の工夫次第・・・かな。