少なくとも10年くらい下積みがあって出てきたのが芸人なんじゃない

「ファイブエル」2006.10月号より。
木村政雄氏が最近のお笑い芸人という言い方にたいして述べていたこと。これは志村けんとの対談のなかで出てきた話題だった。かつて吉本興業で多くの芸人をみてきたからこそ、軽々と「芸人」と言ってしまうことに違和感があるらしい。
たしかに、わずか1,2年の修行でテレビに出てお笑いをやっていても、一時的なタレントに過ぎない場合が多い。本当に10年後も現役で活躍しているかどうかはわからない。ある意味使い捨てにされているのかもしれないが。
志村自身は長年の厳しい下積みを経て舞台に上がっていることから、今の若手に対しては「芸人」まで言ってないような気がする、と述べている。磨きぬかれた芸はそれほど短期間では身につかないのではないだろうか。
そこへいくと、漫談の綾小路きみまろは下積みが30年近くあって出てきている。しっかりと自分のスタイルを確立しているという点では芸人なんだろうな。
志村はさらに次のように、指摘している。「いまはちょっと売れると、(バラエティなどで)すぐネタをやらないで普通のトークになっちゃうので、それが寂しい。もうちょっとネタをちゃんとやればいいなという気がする。」
実はそのネタをつくるのがいちばんつらいことなのだ。練り上げた笑いはそうそう簡単には出来るわけはない。20年も30年も第一線で活躍できる芸人はやはりどこかが違っている・・・はず。
「お笑いの世界には静かな人が多い」という木村氏の言葉も印象的だった。(やすきよはどうだったかわからないが)