人は誰しも、時間という医師の助けを借りて生きている。

編集手帳」竹内政明著より。
これは読売新聞、朝刊一面のコラムを編集したものだった。始めのページから順に読んだものの、4分の1ほどのところまでは、自分には退屈なものだった。それは私の知識不足からくるものと思われた。
しかし、このセンテンスはちょっと気になった次第。昔から言われることに“人の噂も75日”というのがあるが、次々といろいろな事件や事故が発生するので、噂もそんなに長くは続かない。大きなニュースも場合によっては数日で忘れ去られてしまう。
個人の場合では、苦しかったこと、悲しいこと、恥かしいこと、心が痛むこと、思い出したくないこと、ショックなこと・・・などもあるはず。しかし、あわただしい毎日を過ごしているうちに多くのことは時間の風化作用で忘れてしまう。それはありがたいことだ。
嫌なことがいつまでも、頭に残っているうちは前には進めない。忘れることのありがたさを感じることもある。できれば、嬉しいこと、楽しいことだけはいつまでも記憶にとどめておきたいのに、そんな記憶さえも薄れていってしまう。
また、“いずれそれは時間が解決してくれる”、というのもたまに言ったり、聞いたりもするな。これもきっと同じ意味だろう。逆に嫌なことでも、二度と繰り返さないために忘れてはならないこともある。それは、ある意味いいクスリでもあるかな。