何も教えずに教える。

「知性の磨きかた」林望著より。
筆者の学生時代には、何も教えないで教えてくださった先生が3人いたという。教えてはくれないが、自分で勉強したことにたいして励ましてくれたようだ。それでなおさら学ぼうという推進力になったのだろう。教わるは受動でも学ぶは能動でなければありえない。
しっかりと評価されることで、勉強する側には自信がわき、勇気づけられ動機づけられる。林さんは勉強によって身につけた方法は、その後も役に立っていると述べている。つまり、単なる知識を身につけるのではなく方法を学んだことこそが財産になっているようだ。
ときには指導者のたったワンセンテンスが、教え子の生き方に大きな影響をおよぼすことさえありうるのだな。とかく親切すぎる先生はすぐに知識を植えつけようとするが、それだけで生徒が育つわけではないのだ。
繰り返しになるが、「片々たる知識はどうでもいいんだ。方法を身につけなさい」と教えられたという。私の学生時代にはそんなこと言ってくれる先生はいなかった・・・な。まあ、たとえいたとしてもその意味さえ理解できなかったに違いない。