自分の人生にふさわしい道具・・・

「ENGLISH JOURNAL」2006.8月号より。
この号の表紙になっていたのはモーガン・フリーマン(米・ベテラン俳優)だった。彼がインタビュー記事のなかで答えていたフレーズ。インタビュアーが「演技への興味に火がついたのはいつのことだったか覚えてますか?」と質問した時、「8歳です」と答えている。
小学校3年生の時に出演した劇で、演劇こそが自分にとって人生の道具だと悟っている。つまりそれは一生を貫く仕事という意味のようだ。そして、当時の先生や母親の会話まで覚えている。
フリーマンは1937年の生まれだから、もうすぐ70歳になる。よくそんなことまで覚えているものだと驚かされる。やはり好きそこものの上手・・・で、幼い頃から学内の演劇活動では頭角を現していたのだ。
12歳の頃、地区と州の演劇の大会で優勝し、最優秀主演男優賞を受けている。とはいえ、実際の長い俳優人生のなかで、アカデミー賞にノミネートを果たしたのは50歳を迎えたからだった。いまでは「映画界で最も尊敬される俳優」とまで評されている。
スポーツでも演劇でも宇宙飛行士でも幼い頃の夢を実現して一生の仕事とできた人はどれほどいるだろうか。いまの仕事が“自分の人生にふさわしい道具だ”と言い切れる人はどんなにか幸せだろう・・・
(蛇足)
これを書きながら思い出したのは、「ミリオンダラー・ベイビー」(2004年)での彼の演技だった。この作品はアカデミー作品賞をはじめ複数の受賞作なのでご覧になった方も多いに違いない。彼もこれで念願のオスカー(助演男優賞)を受賞している。
味わい深い役どころであった。ボクシングジムの掃除をするただの年老いた黒人の一人の男に見えた。ところが、彼はかつて腕に覚えのある元ボクサーでもあったのだ・・・。実に存在感のある演技をしていた。(今日はちょっと長くなりすぎたか)