芸術の「受け手」としては、財布の紐がゆるい人が多い。

「芸術力の磨き方」林望著より。
(前日のつづき)
私は芸術も芸能もこちら側が楽しければいいじゃないか、と曖昧に結論付けようとしているのに対して、筆者はさらにツッコミを入れている。そして芸術は観るだけのものだろうか、と問いかけている。
林さんは自らの経験を踏まえて別の面からも述べていた。たとえば、自己満足で終わってしまうカラオケより、それに費やす時間とお金を声楽に使えば「アート」の世界へ足を踏み入れられる、と。ちゃんとボイストレーニングの指導を受けてみると、自分の中にある表現欲を高い次元で満たすことができるようだ。
そういえば、絵画や書道でも、ちゃんとした指導者のもとで習えば上達も早いかもしれない。そして、より早く完成度の高い作品を創造できそうな気もする。自己流だけでは何ごとも上達に限度があるだろう。
芸術と芸能はジャンルが違うだけでその境界線はかなり曖昧だと思えることもある。それは日本の古典芸能である、能、歌舞伎、狂言雅楽・・・などは芸術といってもよさそうだし。
ビートルズやジャズ、ディズニーのメドレーをオーケストラで聴くのも楽しいだろう。声楽を極めたベテラン歌手がポピュラーソングを歌ってくれたら趣きも異なって、流行歌手より歌詞の意味がわかりやすくなるかも。(話はまたまたかなりそれてしまった)
筆者が指摘していることは、外国から高名なオペラ歌手が来日すれば、目の玉が飛び出るような高額チケットがあっという間に完売になるしCDも売れるということだ。同様なことは芸能の分野でもいえそうだ。
美術館でも海外の有名な画家の大作や美術館展が開催されると連日長蛇の列ができる。いずれにしても芸術は鑑賞するだけで満足できるものかな・・・?