うまいからといって、読者が共感してくれるとは限らない。

日経新聞夕刊」2006.6.16付けより。
コラムの中で、漫画家で宝塚造形芸術大学教授の松本零士さんが学生に対して言っている言葉。これは、漫画の世界について語っていると思われる。一部を抜粋すると次のようになっていた。
「この道は厳しいです。自由の権化ですから。うまくいくのは奇跡で、うまくいかないのが当たり前。退職金も年金も何もない。その覚悟がなかったらやれない。・・・」まだまだ、いくつもの厳しい言葉が投げかけれられる。
もちろん、絵がある一定の水準以上であることは条件ではあるが、それだけではプロとして生きていくには十分ではないのだ。絵の上手下手だけでは問題にならない。“おれはこれが描きたいんだ”という断固たるものが必要になってくる。
私の高校時代のクラスメートに飛びぬけて漫画が上手な男がいた。卒業と同時にある有名な漫画家に弟子入りし数年後新人賞をとり単行本も何冊か出していた。しかし、プロとしてそう長年活躍できたわけでもない。途中でまったく異なる仕事に就いている。
本当に好きなことを職業にし続けることは実に難しいことのようだ。やはり、松本氏が言っていたように奇跡に近いんだろうな。