「志賀直哉はなぜ名文か」

志賀直哉はなぜ名文か」山口翼著より。
これはフレーズというより、書名そのままだ。私が若いころ志賀直哉は「小説の神様」と言われていた。もしかしたら、今でも学校ではそう教えているかもしれない。
でも、それはなぜだろうとは思わなかった。昔からみんなからそういわれるからそうなのだ、ということで納得してきた。この本のサブタイトルには“あじわいたい美しい日本語”とあった。
だからこそ、この本のタイトルを見たときに気になってしまい。すぐに買ってしまったのだ。筆者は長年にわたって多くの作家の全集を、片っ端から読んで名文を集めて研究してきている。
そして、整理して『文章のコツ・志賀直哉ほか』と題してまとめて原稿を編集部へ渡したのだ。ところが、編集部からは「志賀直哉ほか」の「ほか」をとって志賀直哉一本で書いて欲しいといってきたのだ。
つまり、専門家からみても、直哉に比べると他の文章は見劣りがしたのだ。やはり、だれも「読んで光る文章」、「巧みな表現」、「推敲をこらした文章」に自然に目がいくのだろう。
私も学生時代、国語の授業で習った『清兵衛と瓢箪』が気に入って、全文を原稿用紙に写し取ったことを思い出した。もう一度、機会があったら志賀直哉をじっくりと読んでみたくなってきた・・・な。