人間の海のような大都会で、偶然同じ人物に再会する確率・・・

「砂漠の駅(ステーション)」森村誠一著より。
久しぶりに森村作品を読んでみた。これはメインは新宿を舞台にしたミステリー小説だった。その中にあったワンフレーズが気になった。この砂漠とは“東京という人間の砂漠”のことを意味していた。その砂漠の中の駅は新宿だという。
この文の後には、「・・・天文学的な確率にちがいない。」とあった。通勤や通学の駅や乗り物なら時間帯がほぼ同じなら、お互いが他人どうしでもよく見る顔はある。しかし、大都会の真ん中で偶然出会う人に再会することは確かに稀なことだろう。
この部分を読んでいて、きわめて個人的なことだが約25年前にアメリカ西海岸へツアーで旅行をしたときのことを思い出してしまった。サンフランシスコからロサンゼルスに向かう飛行機のなかで、隣の席になった3人組みの仲間と知り合いになった。
彼らは別のツアー旅行者だったが、話が合うのでロサンゼルス観光を一緒にすることになったのだ。私は1人だったが話しているうち、彼ら3人は同じツアーで知り合った仲間だとわかった。私は移動や食事を彼らとともに楽しく過ごすことができた。
その後3人組はハワイへ移動ということで現地でお別れをし、私は帰国の途についたのだ。名前だけは覚えてはいたもののその後再会の約束などはしていなかった。
ところが、その1年後都内の新橋駅前を歩いていてすれ違った男に見覚えがあったのだ。お互いに数歩歩いた後で振り返った。私はTさん!と呼びかけてみた。すると相手も笑顔で近づいてきたのだ。偶然の再会にびっくりしたものだった。
しかも、それからしばらくしてもう1人のIさんとも偶然私の仕事関係で出会うことができたのだ。たまたま海外で出会った3人のうち2人に会うとは不思議な再会にも思えた。しかし、その後は時間の経過とともに、仕事の忙しさにまぎれて旅行した思い出はほとんど忘れてしまった。
ネット上でも、一度交流があった人に、数年後また別の形で偶然出会うこともあるだろうか。それはそれでまた懐かしいかもしれない・・・な。