誰にも「それさえあれば」というもののひとつやふたつあるような気も

「シネマと書店とスタジアム」沢木耕太郎著より。
この本のあとがきにあったこの部分を読んで、なるほどそれがこの本のタイトルだったのかと納得した次第。
この「これさえあれば」というものはここでは生活必需品やお金や食事というものを指してはいない。むしろ、それがあることによって生活が楽しくなるというようなものだろう。
だから、没頭できる趣味のようなものかもしれない。また、それが身近にあることによって安心できるようなものだろう。
沢木氏にとってはそれは映画と書物とスポーツだったのだ。それらに出会える場所を表したものが、シネマ、書店、スタジアムだったのだ。
時間を忘れて過ごすことができるものを持っていることは、ある意味贅沢で幸せなことといえそうだ。そんな余裕がなければ生きるだけで精一杯だし。
で、「〜さえあれば」というもので、一般的にはどんなものが考えられるだろうか。うまいラーメン、極上の酒、ゴルフ、ミステリー小説、格闘技、サッカー、釣り、音楽、カラオケ・・・そんなものは人の数だけ無数にありそうだ。
それは年代によっても異なってくるかもしれない。今の自分なら家庭菜園、目をさらす本、雑誌、インターネット程度だろうか。もしなければ、逆に「これさえあれば」というものを持つことで楽しく過ごせるともいえそうだが・・・