信頼関係とそこから生まれる「関係パワー」。

スラムダンクな友情論」斉藤孝著より。
イチロー選手のエピソードはしばしば用いられるが、ここにも一つあった。彼は道具を大切にすることはよく知られている。しかし、かつて一度だけ三振をしてバットを叩きつけたことがあったのだ。それはまともに勝負してこないピッチャーに自分のバッティングができず悔しかったからからだった。
その後イチローはこのことをくやんでいるという。その理由は意外なことに「バットを作ってくれた職人さんに申し訳なかったから」だという。プロのバット職人は一人ひとりの選手に合わせたバットを手作りしている。ミリ単位、グラム単位の技で仕上げている。彼はその高度な技術を知っていたからくやんだのだろう。
同じメジャーの松井選手は毎年のようにバットの重さや太さを調整しながら新しいシーズンを迎えている。一方、イチロー選手はほとんど同じバットを使用しているという。しかし、それもオンリーワンのものだ。
ヒットやホームランを量産できる技が生きるのも、その選手にぴったりのバットがあるからこそだろう。バットをはじめ道具類のことを考えれば、多くの人に支えられて好きな野球ができているという自覚がパワーを生んでいたのだ。またどんなに素晴らしいプレーも自分ひとりでは成し遂げられないということも常に念頭にあるに違いない。
う〜む、自分が仕事ができるもの、家族をはじめ周囲の協力があってこそか・・・自分もバット、いやバッグを放り投げたりしないようにしよう。