素人のプロフェッショナル。

『スポーツを「読む」』重松清著より。
なんだか、ちょっと変わった表現が気になった。筆者は大橋巨泉のことをこう言っている。
巨泉ははじめはジャズ評論家だったはず。それがいつしか、麻雀、釣り、将棋、ボウリング、アメフト、スキンダイビングメジャーリーグ、ゴルフ、競馬、テレビ番組・・・といろいろなレジャーを紹介してきた。
テレビや本や新聞を通してこれほど面白いんだ、ということを自らの体験も通して独特の“オレはね、オレはこう思うんだ”というような調子で語ってきた。その解説内容は、その道のプロではないから素人かもしれないが、そんじょそこらの素人とは違うぞ、というところもアピールしてきている。
だからこそ、“素人のプロフェッショナルだ”という表現があっているのかもしれない。そのためにいろいろな対象に徹底的に取り組んできたというスタイルが感じられる。スポーツの面白さは、単に汗を流すばかりでなく、レジャーとしても(観たり、試したりして)楽しむものだといいたかったのかもしれない。
巨泉はいつくものスポーツや対象に精通したようだが、普通の人にはそのうち一つでも“素人のプロフェッショナルだ”といえるようなものがあればいいほうだ。もし、そんなものがあれば、きっと人生をもう少しよけいに楽しむことができるんじゃないか・・・な。