基本技術が、一瞬のチャンスをものにする。

「中田語録」小松成美編著より。
似たような言葉も、結局それを誰が言ったかによって、説得力も違ってくるものだろう。たとえサッカーに関心がなくてもナカタの名前だけはどこかで聞いているはず。
この本のわずか2ページほどのところで中田は、基本について意味のあることを繰り返していた。「負けるってことは、こっちが下手だってことでしょう。・・・敵に勝る技術がないから勝てないんで、勝つためには技術で上回る以外ない」彼が考えるサッカーの技術とは、実にシンプルなものだった。「足でボールを操り、コントロールして、目指した場所へ蹴る。ただそれだけのこと」
技術の向上には、ミスをしないよう確実な練習をするしかないというものだ。練習をして技術を磨くだけのこと。そして、もし派手で美しいプレーを見せようと思ったら、地味な練習を死ぬほどしないとダメらしい。
彼が練習でいちばん時間を割いているのは、最も地味な対面パスだという。ただし、そのためにはきっちりと考えながらしているのだ。足のどの部分で、どれくらいの力で蹴ると、どういうパスになるのか、頭の中にインプットしながら蹴っているのだ。
つまりそんな基本技術があってはじめて、一瞬のチャンスをものにできるのだ。どんなことにも基本がありそれを身につけるために、たとえ一流になっても繰り返していることがわかる。
中田選手だけでなく、イチローや松井など世界のトップレベルで活躍している選手たちが言っているからこそ、ナルホドと思えることも多い。似たようなことを、そのへんのおじさんやおばさんに説教されたところで、“だからなんなの”なんて思われるだろうな。