科学性が高くても、すぐれた競技者が使ってくれなければ、認められな

「勝つ、スポーツサイエンス」田中誠一著より。
筆者はスポーツコーチの専門家で、数多くの選手を指導してきた実績がある。たとえば、ハンマー投げの室伏(父)、プロ野球の長嶋、ゴルフの金井、F1の中嶋、ボクシングの井岡、・・・
かなり前に田中氏は運道具メーカーの靴の開発について意見を求められたことがあった。メーカーの研究開発担当者と田中氏は、人間の足に靴がどのように作用するかという分析をもとに作った靴が爆発的なベストセラーになったという。それをはいて女子バレーボールチームはオリンピックで優勝していたのだ。こんな経緯からもそのシューズは認められたともいえる。
そこで、田中氏は「スポーツ用品は科学性が高くても、すぐれた競技者が使ってくれなければ、認められないのです。」と述べている。つまり、いくらデータによってその製品の優秀さが証明されたところで、実際にそれを使った選手が抜群の成績を残してくれなければ本物とは認めてくれない、ということだろう。
これを逆にとって、著名人がテレビCMでそれを使用しているとその製品が優秀であるようにも錯覚してしまう。そのへんの見極めも重要そうですね。競技者はベストの結果を出すために常に道具の素材や完成度にもこだわっている。ここでは“弘法は筆を選ばず”は通用しなさそうだな。