当たり前のことをやっていたら、だれも相手にしてくんないよ。

朝日新聞」2005.9.28より
生活面の「仕事考」というコーナーで岡野雅行岡野工業代表)さんはこう言っている。
学歴もコネも地位もない彼にあるのは誰にも負けない技術だという。こう思うことが自分の活力になっているらしい。
逆に言えば当たり前の発想やだれにでもできる程度の技術からは、そこそこのものしかできないということも言えよう。それでは誰にも注目されることはない。
世界一細い「痛くない注射針」を開発する際、大学の先生にも物理的に不可能と言われている。結果的には従業員6人の下町の工場で作ってしまった。そして、いまそれは量産されている。
この基礎となった金型の技術は明治37年生まれの父親から教わっていたのだ。しかもオヤジさんは土間に白墨で線を引いて製品をこしらえていたという。そして岡野さん自身も図面を引かずに自由な発想で製品をつくり続けている。不可能を可能にしてしまう秘訣はそんなところにもありそうだ。
しっかりとした基礎、そして縛られずにそこから飛躍できたときに世界で初めての製品は生まれるのだろう。それを支えるのはプレスの技術だ。それだけは誰にも負けないという確かな自信に違いない。う〜む、やはり自分の世界をもったたたき上げは強いと感じざるを得ない。