仕事の基本は仲の良いケンカにある。

PRESIDENT2005.9.12号より
この号の特集は“トヨタ式仕事の教科書”だった。上記はこの中での、6月に就任した渡辺新社長の言葉。
この社長はヒラ、係長、課長、部長の時期を通じて上司とケンカをしなかったことはないという。たとえば、総務部広報課にいたときは、東富士研究所をマスコミに公開している。これにこぎつけるには何度もケンカした末だった。
元々研究開発部門や施設は秘中の秘で公開するなどは考えられなかった。しかし、渡辺氏は「技術の日産、販売のトヨタ」という風評を覆したかったというのが理由だった。そのために企画書を作って上司に見せたものの、すんなりとは通らなかった。
このダメ出しは渡辺氏には楽しみだったという。それは上司とケンカができるからだ。「まるでトヨタに技術がないような言われ方をして悔しくないんですか」「いいことをやっているんだから、記者の連中に見せてやりましょうよ」こんな訴えで粘った末に公開にこぎつけたという。
新しい試みが好きなだけでなく、それを上司に認めさせるのも好きだったようだ。ちゃんと仲が良いケンカができるということは、しっかりとした信念と問題意識があるからこそできるに違いない。自分の中でこれでいいのか、という問題意識→問題提起→熱意と粘りの意見具申がきっちりとできる人はやはりただものではないな。