規制のなかからはみ出せないから、よいものもできない。

「俺が、つくる」岡野雅行著より
岡野氏はものをつくる際に図面を書いたことがないという。図面がなくても全て頭の中に入っているからできる。これは腕のいいピアニストは楽譜がなくても耳で聴けば弾けてしまうのと同じことだという。
図面を引かないからこそ発想は無限に広がっていくのだ。頭の中の図面から加工して完成までもっていってしまう。現場で思考錯誤するなかからいいものができてくる。ジャズにたとえて、即興、つまりアドリブのようなものらしい。
ほとんどの人は規制の中だけで育ちすぎている、と岡野氏には見えるのだろう。その中にいる限りは発想自体も限られたものになってしまう。とはいっても、熟練した技を身につけるには数十年の修行が必要なことは言うまでもないことだろう。
べつに製造業に限らず、はじめ作った企画書や計画だけにとらわれていると、それだけにしばられ行き詰ってしまうこともありえる。常識の範囲内にいれば、そこそこ安全かつ快適な生活を送れるかも知れない。しかし、同時に面白みのない日々(人生も)を送ってしまうものだ。今の自分がそうかもしれない・・・な。