一度覚えた言葉は、生涯にわたる宝となる。

「座右の諭吉」斉藤孝著より
好きな本は何かと問われたときに、それを言うことは出来ても引用できるまで読み返したりしているわけではない。ところが福澤はそれが出来ていたらしい。
「・・・殊に私は左伝が得意で、大概の書生は左伝十五巻の内三、四巻でしまうのを、私は全部通読、およそ十一度び読み返して、面白いところは暗記していた。」(福翁自伝
上記のように、福澤諭吉は「左伝」を何度も読み返して、自分の血や肉にしていたのだ。
もし自分にとって人生のテキストとよべるようなものがあるといいだろう。それがあれば、困難に見舞われたときなど、そんな言葉は自分を勇気付けてくれる。出来れば、生きるエネルギーにまでなるような基本テキストを持っていたいものだ。
言葉を変えていえば、よりよく生きるためのバイブルといってもいいかもしれない。自分にとって永遠に宝石のように光を放ち続けるような言葉に出会ったことがあるだろうか。もしかしたら、そんな言葉が含まれている本は自分の近くに置いておくだけでも心の保険といってもいいのではないか。
自分のことを振り返れば、それは「道は開ける」(デール・カーネギー著)かもしれない。まだ若いころ、後から考えれば何であんなことで悩んでいたんだろうと思うようなこともあった。しかし、そのたび、この本のどこかを開いて心の支えにしたこともあった。今でも忘れていない言葉は「今日という枠の中に生きよ」だ。
つまり、過ぎたことや、将来についてあれこれと過度な不安を持たないようにし、今日という一日について考えようと解釈すれば気持ちも楽になる。一生使えるこんなちょっとした宝のような一言をいくつか持っていたいもの。