人間は一夜にして変化することがある。

「ザ・勝負」清水義範著より
タイトルからすると、ノンフィクションものかと思うが、実はユーモア小説だった。(たまにこの著者の家の前を通ることはあるが、べつにありふれた家屋であった。こんなこと関係ないか。)
その中の「米VS.麦」という短編のなかにあったフレーズ。ある米屋の奥さんがいて、いつも疲れた表情で、暗く、声も沈んでいた。それは口うるさい姑からいつも叱り飛ばされているからだった。ところが、この姑が老衰で亡くなってからは、まるで人が変わったように表情はイキイキとしてきたのだ。声の明るく人に優しい心遣いができるようになっていく。
そのうえ、自らすすんで仕事を拡大していくのだった。小説に限らず、実際似たようなことはあるだろう。ちょっとした重石が取れるだけで人は大きく変化する。
たとえば、物事の本質が見えないときなどは、いろいろと心配なことが頭の中に充満して不安が伴ってくる。しかし、それが何であるかさえわかれば、急に気持ちも楽になる。これなども人間は一夜にして変化することがある、ともいえる。
低迷している経済だってちょっとした見通しさえつけば、景気にもいい変化をもたらしそうなものなのに・・・