「モナ・リザ」と「能面」との、あまりに通底した類似点・・・

モナ・リザ」ミステリー 北川健次著より
この本のサブタイトルには“名画の謎を追う”とある。別に推理小説でもないが、読み進むうちに作者と一緒に日本各地や海外にまでその謎を追う旅をしているような気持ちになってきてしまう。
能面もモナ・リザもわずかに微笑んでいるように見える。その表情は見る側の心情をまるで鏡に映すかのようでもあるといっている。両者の共通点は共に眉毛がない点もあげられている。そこには現実を超越した世界があるようにも思えてくる。
モナ・リザには実に多くの謎があることに気づかせられる。そして作者が試みるさまざまな仮説と研究そしてそれを確認するための旅は小説以上に興味深い。
人類最大の知的怪物と呼ばれたダ・ヴィンチの残した絵画は永遠に微笑をたたえていくと同時に謎も永遠だってこともわかってくる。
漱石は「(ダ・ヴィンチ以外は)この謎を解きえたものは一人もいない」と小説のなかでも書いている。物事をただなんとなく眺めているだけの人間(自分)には一枚の名画にさまざまな謎があるっていうこと自体にも気づかないか・・・反省。