世は感性消費の時代・・・

「そうそう、これが欲しかった!」小阪祐司著より。
サブタイトルには“感性価値を創るマーケティング”とあった。このような言葉はあまりなじみがない。ここにそれがどんなものかの例があった。
それは「あなたも、ミズダコ漁で使う『タコ箱』のオーナーになりませんか?」というものだった。穴の開いた箱を海中に沈め、エサを使わずにミズダコをとう漁法だった。
二か月間で五回引き上げて、入っていたタコを浜ゆでして宅配してもらえるものだった。確率は100%というわけではなかった。これは北海道のある町の水産課が、水産資源PRで募集したものだった。
一箱五千円で100口募集したら、なんと二万件以上の応募があったという。予想の100倍以上だったのだ。応募した人はどうしてもミズダコが必要だったわけではない。生活が面白くなるかどうかだったのだ。
つまりそのようなことが、感性消費というものだった。「生活が面白くなるかどうか」は「心の充足」でもあったのだ。主催者からみれば、うれしい悲鳴だったことが起きたわけだ。
まじめにやっても、モノがなかなか売れない時代でも、アイデア次第で予想の二百倍以上も申し込みがあるということだった。「生活が面白くなるかどうか」これが最大のポイントのようだ。

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感性価値創造の取り組みを企業がいかに推進していくか・・・

「そうそう、これが欲しかった!」小阪祐司著より。

「感性価値創造」という言葉も初めて目にした言葉だった。「価値の創造」とは、お客さんの心のなかに起きる現象だった。お客さんの心に変化を起させることができるかどうかで結果は大きく異なってくるものだった。
感性に対する働きかけで、お客さんの心に変化が起きて、「欲しい」「買うべきだ」という価値が生じることだった。たとえば、店頭で商品名と価格だけが書かれたプレイスカードを見ただけでは、すぐに買う気にはならない。
むしろ大事なのはその商品の情報でもあったのだ。価値がしっかりと伝達されてはじめて買おうという気になるものも多い。もしその商品の背景にある物語が語られていれば、興味を持ってもらえる確立も増すだろう。
宮内庁御用達」や「モンドセレクション最高金賞受賞」などというフレーズがあれば、何もない方よりもそちらに手が伸びてしまうのではないだろうか。きっと美味しいに違いないと直感で思ってしまうだろう。
ちょっとした伝え方で商品そのものの価値創造が異なってきてしまう。言葉だけではなく、写真やイラストでもそれは伝わってくるだろう。優れたCMはそこがうまいのだろうな。

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お客さんのニーズを創造するマーケティング
「そうそう、これが欲しかった!」小阪祐司著より。
感性価値創造というものは、たんにお客さんのニーズを満たすマーケティング活動ではなかった。むしろそれはお客さん自身がそれまで気づかなかったニーズや欲求を発見することが大事だったのだ。
お客さんのニーズを創りだす感性価値創造のマーケティングができれば、企業が売り上げを創りだすことが可能でもあった。お客さんの感性に訴えて、行動を起こしてもらえるかどうかが大事で、そこでは値引きはあまり大きな問題ではなかった。
店頭でのPOP一つの書き方で売上げは、大きく異なってくるものだ。しかも感性を揺さぶるものは、言葉だけではなかった。視覚、聴覚、臭覚、触角、味覚に訴えることで、お客さんの感性は動くものだった。つまりそれが「感覚訴求」というものらしい。
スターバックスはそれで、成功した例でもあった。あらゆることで、居心地のいい空間が作れるかを追求しているからだろう。またBGMにまでこだわっているらしい。お客さんは「なんかいいな」と感じれば消費行動を起こしてくれるわけだった。