倦怠感を創造性に変えるのは、鉛を金に変えるようなもの。

「ギフト〜E名言の世界〜」5月号より。
このテキストの講師パルバースさんの「創造について」のエッセイからのワンフレーズだった。氏の経験から語られている言葉は興味深い。それは42年以上も前に、突然インスピレーションがわいてきたときのことを覚えていたからだった。
彼が23歳でまだ京都で一人暮らしをしている時だった。ある時、朝起きると何をしていいのやら、また午後になると途方もない倦怠感に襲われていたという。3時間ほどすると、彼の言葉によると「一条の光に打たれたような気がして、ペンをとると短編を書きあげてしまった」という。
アンニュイは、辞書で引くと、「けん怠感、 退屈、 ものうさ」と掲載されている。氏にとって最もクリエイティブになれるのは、しばらくアンニュイに陥ったときらしい。そんな自身の経験から、なにか創造的なことをする際には、焦らずに思いきって倦怠感を味わってみるのもいいかもしれないと氏はアドバイスしている。
きっとそのぼけーっとしている間にそれまで頭の中で混沌としていたものが、きっちりと整理されたのだろう。ただただ倦怠感だけを感じていてもそれでいいのだろうかとも思ってしまう。やはり、それまでの何らかの蓄積や思考の堆積があってこそ、鉛が金に変わる瞬間が訪れるのではないだろうか。

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自分にはできないと思っていたことが、実はできるのだ、と知ること・・・
「ギフト〜E名言の世界〜」5月号より。
「達成」というテーマで書かれている部分で目にしたもので、ここでは自動車王、ヘンリー・フォードについて語られていた。そして、上記フレーズは次のようになっていた。「ひとりの人間にとっての最大の発見、最大の驚きは、自分にはできないと思っていたことが実はできるのだ、と知ることである」
20世紀初頭には、自動車は高級品で一部の金持ちだけが持てるものだった。しかし、フォードはそれを安くして、より多くの人にその恩恵を被れるようにしたいと思っていたのだ。
あるとき食肉工場の流れ作業による解体作業から、それを自動車の組み立て工程に取り入れ作業効率を500倍に上げたのだった。さらに賃金をそれまでの二倍にして優秀な人材を確保したのだった。
それまで、庶民が車を持つことは絶対無理だとあきらめていたが、フォードはそれに挑戦し、車の価格を大幅に下げることに成功したのだった。結果的に大衆でも容易に車が乗れるようになったのだ。それが、上記フレーズの意味することだった。

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褒美とは贈られるものではなく、勝ち取るものである。

「ギフト〜E名言の世界〜」5月号より。
ラルフ・W・エマーソン(アメリカの思想家)の言葉だったが、ここの部分全体のフレーズは下記のようになっていた。
“Without ambition one starts nothing. Without work one finishes nothing. The prize will not be sent to you. You have to win it.”
(野心がなければ何も始められない。努力しなければ何も終えられない。褒美とは贈られるものではなく、勝ち取るものである。)
フレーズとして実にわかりやすく書かれている。ここで、ambitionという単語が使われているが、これにはプラスのイメージとマイナスのイメージがあった。辞書で引けば、抱負, (…に対する)大望;功名心, 野心, 熱望*1などとでてくる。一般的には日本語では功名心、野心はネガティブな響きがあるが、英語のambitionの場合はいい意味で用いられるようだ。
さて、褒美は贈られるのをただ待つというより、むしろ勝ち取るべきというのは頷ける。しっかりと標的を定めて狙う努力を重ねてこそ手に入れられるものだ。それでこそ達成感は味わえるに違いない。
さらに、講師のパルバースさんは、“You have to deseve it.”「褒美を受けるだけの価値を備えていなくてはならない」と補足していた。こうなるとこのフレーズも実に奥が深い!、と思えた次第。

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限界は自分がそう思った瞬間に訪れるものでしかない。
ウェブサイトの「どらく」5月半ばより。
現在47歳で現役のプロ野球投手、工藤公康の言葉だった。この年齢までプロ野球を現役で続けられるのは、日頃の努力と鍛錬のたまものだということは誰も疑わないだろう。
そんな彼も20代の終わりごろには、心身ともぼろぼろになって二軍落ちしていた。その頃、もう工藤はダメだと言われていたそうだ。そんな時に出会った筑波大学教授で、スポーツトレーナーの言葉に励まされたという。
自身ではあきらめていたが、この教授にまだまだ先に行けると判断され、この先生の指導のものとでトレーニングを重ね鍛錬した結果強くなれたのだった。そのとき年齢は関係ないと感じたという。
それ以後、工藤は限界は自分で作らないようにしようと考えた、とこのインタビュー記事で語っていた。とにかくやれることを一生懸命やることが大事だと感じているようだ。あきらめない気持ちを保てるためには、それなりの日々の努力(心身ともに)がまた大切なのだろうな・・・

*1:for ..., to do