ヨイショはされる身になり丁寧に

「煮ても焼いてもうまい人」立川談四楼著より。
古今亭志ん駒はヨイショの名人らしい。その彼のモットーが上記のフレーズだった。これはそのまま川柳なのだろうか。実に簡潔にエッセンスが凝縮されているようにも思える。
志ん駒によれば、何でもかんでもただ褒め上げるのは具の骨頂で、相手を研究し、喜びそうなツボをそっと押さえるのがコツらしい。まずは観察力が必要だ。一例として次のようなものがあった。
志ん朝夫人がゴルフで絶好調のとき、彼女に聞こえるか聞こえないかの声でボソッと言った。「チェッ、器量がいい上にゴルフも上手いンだからやンなっちゃうな」その結果、ステーキをご馳走になったという。
ところで、「よいしょ」についてはおぼろげながら分かってはいるが改めて似た言葉とあわせて辞書を引いてみた。すると次のようにあった。
よいしょ・・・ごまをすったり、おべっかを使ったりすることをいう語。「上役に―する」。
おせじ・・・相手の機嫌をとろうとしていう、口先だけのほめ言葉。「―を言う」「―にもよい出来とはいえない」「―笑い」。
ごますり・・・他人に気に入られるように振る舞って、自分の利益を得ようとすること。また、その人。
「おせじ」や「ごますり」に比べると「よいしょ」は実際にはややほほえましいニュアンスがこもっているようにも思える。(気のせいかもしれないが)
志ん駒が名人なら三遊亭歌奴はヨイショの達人であるという。どちらもその道ではすごいということだろう。「ヨイショ道」は誰にでも練習次第ではそこそこ上達するのかな。(そんなもの上達してどうする!と自分にツッコミを入れてみたり・・・)