自分の人生をどう生きていくかを考える時、何を捨てるかの決断が必要

朝日新聞朝刊」2006.7.16付けより。
朝日求人の“仕事力”というコーナーで銅版画家の山本容子さんが言っていることば。将来に向かって自分の夢をかなえようとする時、何かをあきらめなければならない時があるもの。
山本さんは若いころ絵で食べていくことを決心した時、おいしいものや洋服がどうとかなどは望まないようにしたという。しかも、同年齢の女性が手にする、子供を持つといった普通の幸せさえもきっぱりとあきらめていたのだ。
それは、やむを得ずそうなった、というよりもむしろ自分が決断したことだったのだ。誰もが望むことを断念することで、目標に向かうことに集中したともいえる。もちろん、プロを目指したからといって、自分が頭に思い描くとおりのアーティストになれる保証はない。
まあいろいろな分野で自称アーティストなら無数にいるだろうが、世間で認められそれで生活ができる人は身近には意外といないもの。しかも一生の仕事にできる人はもっと稀かもしれない。
それでもなおかつチャレンジを繰り返して進んでいったのだ。昔の言葉で“欲しがりません勝つまでは”というのがあった。繰り返しになるが、努力しても勝てる保障も望むものを手に入れられる確証もない。
しかし、何もチャレンジしなかった後悔よりはましかもしれない。今までの人生でそれほど強く目標に向かって進んだことはあったろうか。
数年前彼女の作品展を都内のデパートで見たが、作品はどれも穏やかな感じで癒されたような気がしたものだ。またそこまで到達するにはかなりの苦労があったことも推察される。
とはいっても、平凡に過ごしていくこともそれなりにいろいろ苦労があるものだし・・・。