目に見えるものしか見えないのか・・・。

映画「力道山」(監督ソン・ヘソン)より。
先日、地元の映画館で「力道山」を観てきた。日韓合作の作品だった。そのなかで印象に残った言葉だった。すでにプロレスラーとして成功した後で、現役の力道山が彼のマネージャーに対して投げかけた言葉だった。
あるとき、雑草の生えた広大な土地を前にして力道山はマネージャーに対して「ここに何が見えるか?」と質問する。しかし、実際に目に見えるのは広大な土地だけだった。それに対して力道山が「おまえには目に見えるものしか見えないのか。俺にはリキパレスが見える。」という。
つまり彼が実現しようという夢のことを語っていたのだ。リキパレスとは“力道山の宮殿”という意味合いがある。そこではプロレスが観戦できるほか、各種のレジャー施設も併設されているものだ。彼は心に思い描いた夢を具体的に語っていた。
その後彼はそれを実現してしまうのだ。ふつう夢を具体的に口に出すことなどあるだろうか。力道山は強くなるためあらゆる厳しい試練に耐えていた。特に力士時代は朝鮮出身者というだけでかなりの虐待を受けていた。プロ野球で長嶋、王の登場以前は紛れもなく注目されるスポーツ界のヒーローだった。
そして、日本にプロレスを根付かせ発展させた自信が言わせた言葉でもありそうだ。普通私たちは目に見えるものがすべてで、それで納得、満足してしまうものだが。これは映画のセリフではあるが、力道山なら本当にそういったかも知れない・・・と思わせる。