「自分らしさ」や「自分探し」といった聞こえのいい言葉。

「ストレス知らずの対話術」斉藤孝著より。
この本を閉じようとしたときにふと引っかかる言葉があった。それがタイトルに切り取ったフレーズだ。
それらは、もし〜〜なら、もし〜〜れば、という言葉とたいてい対になっている。たとえば、もし海外に留学していたら、もしもっといい会社に入っていたら、もっと自分の力が発揮できるのに、というふうに。
今いる場所からべつの場所に移れば自分の中で何かが変わると思ってしまう。違う自分が生まれるはずだという幻想を抱いてしまうこともある。場合によっては、ある程度はそうかもしれないが、そんなに簡単には自分自身は変わらないだろう。
よく感性を磨くというような言葉も耳にするが、それも確かに耳障りのいい言葉だ。むしろそのために具体的に何をするかのほうが問題だろう。
他の場所に行っても突然「自分らしさ」が見つかるわけではない。具体的には、何かに上達する、自分の技を磨くといったプロセスこそが、自分を社会に位置づけ、自分の内面を豊かにしていく、というのが筆者の主張だ。
〜タラ、〜レバを考えて惑わされるより、まずは空っぽの自分の中に何かを積み上げていかねばな・・・