文学と絵画の交響する空間の創造

「花のレクイエム」辻邦生著、山本容子銅版画より
これはやはり小説家ならではの表現かな、とちょっと気になりましたね。漢字二字の言葉がいくつも並んでいる。もし、今ふうに言うなら文学と絵画のコラボレーションなんていってしまうかもしれない。それよりずっと重みのある表現になっている。
昨日書店で見つけて買ったものだが、もしこれが短編小説集だけだったら買わなかったはず。もともと植物には関心があったので、手にとってみたがその中に花ごとにちょっと不思議な感じの山本容子の版画がちりばめられているので読んでみる気にもなった。以前から山本の作品は見る度に不思議な楽しさを感じる。文庫本での発行は平成15年1月1日となっているが、はじめて出版されたのは平成8年10月だった。
これまで辻の作品を読んできたわけでもないがあとがきによれば、彼は文学と音楽、文学と絵画を組み合わせてその両ジャンルから生まれる独特の効果を楽しむというジャンルを超えた芸術作品を試みてきたという。
たまにはこんな読み物もいいかもしれない。読んだもの観たものが化学変化を起こして新しい物質が自分のなかで生まれる・・・かな。